かつてソ連に属していたアゼルバイジャンとアルメニアとの間で小競り合いが発生。
もはや戦争では?と言われるほどに衝突が激しくなっており、これは単なる小国間のトラブルだけではなく、ロシアやトルコといった大国を巻き込む事態に発展する可能性があります。
なぜ衝突が起きたのか、今までの経緯や両国の関係、背後に潜む大国の意図などを中心にわかりやすく解説していきたいと思います。
今回の軍事衝突と、飛び地の経緯などを解説
2020年9月27日。
アゼルバイジャンとアルメニア両軍が、30年来領有を争っている飛び地の「ナゴルノカラバフ州」で衝突。ヘリコプターや軍事用ドローン(早い話、自動爆撃機)も投入される事態になっています。
この2カ国は単に領土を取り合うだけではなく、それ以外でもたびたびトラブルを起こしており、溜まりに溜まった不満が今回爆発してしまった感じですね。
ナゴルノカラバフはアゼルバイジャン領内に存在する飛び地。
・領土自体はアゼルバイジャンのもの。
・けどアルメニア人のほうが多い。
・実効支配しているのもアルメニア人。
日本における、竹島みたいなものですね。
日本の領土だし、世界的にもそう認識されているけど、実効支配しているのは韓国人です。
アゼルバイジャン「30年間も不正な支配を続けてきたアルメニアに今こそ鉄槌を!!」
アルメニア「もともとここはアルメニアの土地だ!来るなら追い返してやろう!!」
というわけですね。
すでにどちらも戒厳令を出したり、徴兵を始めたり、そして実際に武力衝突し始めたりと、戦争一歩手間くらいになっています。(両国の大本営発表をそのまま信じれば、被害状況的に戦争状態ですが)
2カ国の関係
ナゴルノカラバフをめぐるアゼルバイジャンとアルメニアの紛争は、約100年も続いています。
1916年においてナゴルノカラバフには70%を超えるアルメニア人が居住。つまり、もともとアルメニア人が多かったわけです。
そしていつの時代もありがちな
「自国民が異国の地で差別されている!これは許されない!」
という大義名分によりアルメニアとアゼルバイジャンの対立がスタート。そこへソ連が現れて「ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャン領に決定!」としたことで今もその領土区分を引きずっているわけです。
ただ、もともと国民が対立していた上に戦争でのフラストレーションは消えず…
ソ連に属している間もナゴルノカラバフでは、アゼルバイジャンとアルメニアがそれぞれ、同地において相手側の虐殺や残虐行為があったとして非難の応酬を繰り返し、紛争の火種となっています。
そして1990年のソ連崩壊後、アゼルバイジャンとアルメニアはともに独立。
ナゴルノカラバフでも独立宣言が発表。ですが国際社会から見れば「それって、結局アルメニアに限りなく近い国になるってことだよね?」と承認されず。おまけに両国がイスラム教とキリスト教で異教徒である、という点も合わさって今のままで対立が続いてきたということです。
国際社会の動き
両国に大きな影響力を持っている国としてはロシアとトルコが挙げられます。
トルコはアルメニアとはオスマン帝国時代のアルメニア人虐殺をめぐり対立。エルドアン大統領はいち早く、アゼルバイジャン支持の姿勢を打ち出しました。アゼルバイジャンの強硬姿勢の背後にはトルコの軍事的支援があるものと考えられています。
ロシアとアルメニアには安全保障条約があります。なのでロシア軍はアルメニアに駐留し、有事には防衛に協力することになっているのですが、実はアゼルバイジャンとの関係も良好だったりします。そのため2カ国どちらに肩入れしてもメリットは薄いです。
ロシアはトルコとシリア情勢でも歩調を合わせているため、今のところアゼルバイジャンへの攻撃は行っておらず、停戦を呼びかけているだけ。しかし、ロシアにとってみれば長年の懸案であるナゴルノカラバフ問題を解決すれば大きな外交成果になり、その機会を探っているものと見られます。
さらに、アゼルバイジャンとアルメニアのある地帯には、カスピ海からの石油や天然ガスを国際市場に提供するパイプラインが伸びています。
ですので、この地域での紛争は世界のエネルギー市場にかなりの影響を及ぼすものと見られており、国際社会は即時の停戦を要求。しかし、各国は新型コロナウィルスなどの国内問題への対応に追われ、実効性のある解決策を見出せないのが現状です。
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